漫画家まどの一哉ブログ
「プラトーノフ作品集」
読書
「プラトーノフ作品集」
プラトーノフ作
ソビエト黎明期に一時的に話題になるも、その後反革命的作家として文学史から追放されたプラトーノフ。その貴重な中・短編を収録。
「ジャン」:党中央委員会の命令を受け、中央アジアを放浪する滅びかけた遊牧民ジャン族を救うべく赴いたジャン族出身の青年チャガターエフ。残された数名の老人たちを連れて、元々の自分たちの土地サル・カムシュへ帰るべくよたよたと歩き始めるが、道を見失い砂漠の中を食料も無くさまようこととなる。湿った砂を口に入れて水分を摂取し、草を食べ、鳥を殺しては生肉を分けあって進むが、生きていること自体がありえないと思われる過酷な設定で、あまりに日常世界と離れており、ある種幻想的な非現実感がある作品。
アム・ダリヤ川やウスチ・ユルト台地。カラカルパック人やバルチスタン人など、ふだん馴染みのない地域なのでなおさらだ。
「帰還」:兵役を終えて我が家に帰還した夫だったが、留守中に妻が下心ある他の男たちの世話になっていたことが許せない。長男は子供のくせに小舅のごとく口うるさく家を切り盛りする人間に育っている。妻の夫に対する愛は変わらないのだが夫は理解しない。この夫婦の心情をしっかり緻密に描いた正当派家族劇。これがこの作家の本来的な仕事だろう。
「プラトーノフ作品集」
プラトーノフ作
ソビエト黎明期に一時的に話題になるも、その後反革命的作家として文学史から追放されたプラトーノフ。その貴重な中・短編を収録。
「ジャン」:党中央委員会の命令を受け、中央アジアを放浪する滅びかけた遊牧民ジャン族を救うべく赴いたジャン族出身の青年チャガターエフ。残された数名の老人たちを連れて、元々の自分たちの土地サル・カムシュへ帰るべくよたよたと歩き始めるが、道を見失い砂漠の中を食料も無くさまようこととなる。湿った砂を口に入れて水分を摂取し、草を食べ、鳥を殺しては生肉を分けあって進むが、生きていること自体がありえないと思われる過酷な設定で、あまりに日常世界と離れており、ある種幻想的な非現実感がある作品。
アム・ダリヤ川やウスチ・ユルト台地。カラカルパック人やバルチスタン人など、ふだん馴染みのない地域なのでなおさらだ。
「帰還」:兵役を終えて我が家に帰還した夫だったが、留守中に妻が下心ある他の男たちの世話になっていたことが許せない。長男は子供のくせに小舅のごとく口うるさく家を切り盛りする人間に育っている。妻の夫に対する愛は変わらないのだが夫は理解しない。この夫婦の心情をしっかり緻密に描いた正当派家族劇。これがこの作家の本来的な仕事だろう。
PR
COMMENT