漫画家まどの一哉ブログ
「世界イディッシュ短篇選」
読書
「世界イディッシュ短篇選」
西成彦 編訳
やはりポーランドやウクライナ、ベラルーシ出身の作家が多い。ロシア革命やホロコーストをくぐり抜けたユダヤ人の体験が、直接ではなくても登場人物の背後に見え隠れする形で語られる。そうやって物語が成り立つ所以を実感することは日本人には不可能だが、短編自体は面白く読める。
「つがい」ショレム・アレイヘム作:アレイヘムは以前「牛乳屋テヴィエ(屋根の上のバイオリン弾き)」を楽しく読んだ。つがいといっても夫婦ではない七面鳥のオスとメス。これを七面鳥目線で描いて愉快。祝祭日のために用意された身の上なのに、いつか解放されると信じているのだ。
「塀のそばで(レヴュー)」デル・ニステル作:神学者として地位も名誉もある男性が、サーカスの曲芸氏の女に惚れ込み、職を捨ててサーカス団に入団するという話のベースはあるのだが、部屋の片隅から埃人間なる茫漠とした案内人が登場したころから時空は入り交じって本格的な幻想文学に。具体的な輪郭がはっきりしないままなのに、起伏のあるストーリーが止まることなく進行するのは見事。
「世界イディッシュ短篇選」
西成彦 編訳
やはりポーランドやウクライナ、ベラルーシ出身の作家が多い。ロシア革命やホロコーストをくぐり抜けたユダヤ人の体験が、直接ではなくても登場人物の背後に見え隠れする形で語られる。そうやって物語が成り立つ所以を実感することは日本人には不可能だが、短編自体は面白く読める。
「つがい」ショレム・アレイヘム作:アレイヘムは以前「牛乳屋テヴィエ(屋根の上のバイオリン弾き)」を楽しく読んだ。つがいといっても夫婦ではない七面鳥のオスとメス。これを七面鳥目線で描いて愉快。祝祭日のために用意された身の上なのに、いつか解放されると信じているのだ。
「塀のそばで(レヴュー)」デル・ニステル作:神学者として地位も名誉もある男性が、サーカスの曲芸氏の女に惚れ込み、職を捨ててサーカス団に入団するという話のベースはあるのだが、部屋の片隅から埃人間なる茫漠とした案内人が登場したころから時空は入り交じって本格的な幻想文学に。具体的な輪郭がはっきりしないままなのに、起伏のあるストーリーが止まることなく進行するのは見事。
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