漫画家まどの一哉ブログ
「デイジー・ミラー」 ヘンリー・ジェイムズ
読書
「デイジー・ミラー」
ヘンリー・ジェイムズ 作
(新潮文庫)
旧弊にとらわれず、誰とでも自由に大胆に付き合うアメリカ人女性デイジー。彼女に魅せられた青年はスイスの町からローマへと彼女を追う。いったいデイジーとはどういう女性なのか?
夜遅くとも平気で男性と遊びに行き、その非常識と奔放ぶりを非難されるデイジー。確かに極めて外交的・社交的な人格というのはあるもので、初対面でも誰とでも遠慮なく話し、行動を共にし、男女の垣根も低い人間はいる。
デイジーも自由な新しい女と言うよりは、極めて社交的な人間として繰り返し描写されている。世代や階層による女性観の違い・相克をテーマとしている面も少しはあるのかもしれないが、観察的な視点で描くという方法のためか、説明だけで一編の小説が終わっているフラットな印象。劇性が薄く、だからどうしたという感覚になってしまうかも。
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