漫画家まどの一哉ブログ
「ガラスの動物園」 テネシー・ウィリアムズ
読書
「ガラスの動物園」
テネシー・ウィリアムズ 作
(新潮文庫)
裏町のアパートで3人暮らしの一家。ヴァイタリティ溢れる母親と倉庫勤めの息子。そしてあまりにも内気で引きこもりぎみの姉。姉のお相手探しのため青年紳士が夕食に招かれるが…。
以前から今ひとつ頭に入ってこないテネシー・ウィリアムズに再挑戦。ようやく面白く読めた。舞台(アパート)・人数(4人)と限定された設定。
若い頃から派手好きで人付き合いも多い母親がとにかく口うるさく、大人である息子に細かなことまで、それこそ箸の上げ下ろしまで干渉するので、これでは息子も父親の真似をして蒸発しようかというもの。
またあまりに自罰的で自信がなく、学校や職場で緊張に耐えられない姉の性格も、多かれ少なかれ自分を見るように思う人も多いのではなかろうか。
そういう意味では分かりやすく楽しみやすい作品。後半訪れる青年がこの姉の心を解きほぐして、彼女の自信を取り戻そうとしていくところも、なかなかに優しさと人間愛にあふれる展開で、静かな感動をよぶ。
なんだこんなにわかりやすいヒューマンストーリーだったのか。
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