漫画家まどの一哉ブログ
「タルチュフ」 モリエール
読書
「タルチュフ」 モリエール 作
「タルチュフ」 モリエール 作
一家の主とその母親だけが、偽善者タルチュフにうかうかと騙されており、それ以外の家族や縁者はみな冷静にタルチュフの企みを見抜いている。といった極端な設定がなんの経緯も語られずにいきなり登場するのが妙だ。しかし観客にはひじょうに分かりやすい状態で話が展開するので、まあ喜劇にはこの簡単さが必要なのかもしれない。
最後にうまくいくはずだったタルチュフの悪だくみが、賢明な国王陛下の判断によって未然に防がれ、一家は逃亡離散を免れるというところも、自分達を守ってくれる強い権力が大好きな大衆劇の基本か。水戸黄門や大岡越前のようなもの。
当主の妻は、まんまとタルチュフの望みどおりにタルチュフを愛していると一芝居うって、じつは当主はテーブルの下で隠れて聴いている。そんなハラハラドキドキの定番、基本中の基本もちゃんと入ってる。これが喜劇だ。
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