漫画家まどの一哉ブログ
「ザ・ロード」 ジャック・ロンドン
「ザ・ロード」
ジャック・ロンドン 著
(ちくま文庫・川本三郎 訳)
大陸横断鉄道に無賃乗車して旅を続けるホーボー(放浪者)たち。著者若き頃の実体験を綴ったスリリングなアメリカ放浪記。
ジャック・ロンドンを読むたびに同じことを思うが、やはり部屋の中でじっとしていられない、体が先に動いてしまう行動型作家ならではの作品だ。
ホーボーと呼ばれる鉄道タダ乗り放浪者の存在はまったく知らなかったが、文庫本図版を見る限り列車の連結部や客車の下、天井など、かなり危険な部分に飛び乗り・飛び降りを繰り返している命懸けの旅である。それでも物乞いを続けながら自由に彷徨う喜びには換えられないというわけ。
日本でも山頭火や井月など彷徨う人はいるが、ホーボーは仏教的な無常感ではなくいかにもアメリカ的な明るさがある。ヨーロッパでもこんな奔放な訳にはいくまい。やはり新しい国ならではのフロンティア精神の余波のようなものかもしれない。
とりあえずジャック・ロンドンを嚆矢としてヘミングウェイや日本では開高健にしても、基本的に体が丈夫な作家の描く世界という認識であります。
PR