漫画家まどの一哉ブログ
「エピクロスの肋骨」 澁澤龍彦
読書
「エピクロスの肋骨」
「エピクロスの肋骨」
澁澤龍彦 作
著者若き日の初期作品小説。「撲滅の賦」「エピクロスの肋骨」「錬金術的コント」の3作プラス巌谷國士の解説が収められた短編集。「撲滅の賦」は埴谷雄高の「意識」という作品を下敷きにしたオマージュのようなものであり、「錬金術的コント」はフランスの作家の作品のアレンジであるそうだ。ようするに立派な二次創作であって、やはり二次創作は若い頃にありがちな創作の楽しみなのだろうか。
どの作品もモダニズム文学趣味を絵に描いたような文体で、こういうのもコツを掴めば案外簡単に書けるのかもしれないが、さすがにおもしろく格好よく出来ている。キザなところはまるで無くユーモラス。巌谷國士の言うように足穂や石川淳を思い出す。澁澤ならではのオリジナリティがどの辺りにあるかは、これ以外の小説作品を読んでいないのでなんとも解らないが、後の「高丘親王航海記」を引き合いに出さなくても充分愉しい。解説は1/5くらいでよい。
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