漫画家まどの一哉ブログ
「集合知とは何か」 西垣 通
読書
「集合知とは何か」西垣 通 著
そういえばあったよなー、第5世代コンピューター。80年代に産官学共同で推進された大掛かりなプロジェクト。並列推論マシンを作る夢の企画は当時テレビで見て自分も覚えている。この企てが失敗したところに人間の知というものに対する根本的な誤解があったらしい。
コンピューターの世界は開かれた知の世界で、見る者にとって全てが明晰であり、同じ事を全員で共有することができる。対して人間の知というものはあくまで閉鎖されたものであり、他者から窺い知ることができない。生物として生き残る為に世界を認識するところから始まる、かのクオリアを出発点とした、個々の人間の脳内で完結したものなのである。これをコンピューターの知の世界のように開放されたものと混同するところから間違いが起るのである。
この話は目ウロコだった。
そして人間の共有知は、閉鎖された個々の人間どうしの相手のキャリア(経験)に信頼をおくところからスタートしていて、それが集団に置けるリーダーの存在に発展していくらしい。簡単に言えば共有知といっても限られた片目をつぶっているような状態で、それがかえって社会の存続の為には有効であり、これがコンピューターのように開放された誰にとっても均質な世界となってしまうと、社会は全体主義や独裁国家のようなものに転落してしまう。
例として企業内でのコミュニケーションシステム等あげられているが、自分は会社の話などどうでもいいので、ネット集合知をそんなことに使わないでほしい(笑)。
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