漫画家まどの一哉ブログ
「アンダー、サンダー、テンダー」 チョン・セラン
「アンダー、サンダー、テンダー」
チョン・セラン 作
(クオン・吉田凪 訳)
毎朝同じバスで高校へ通う仲間。やがて映画美術を職業にした彼女がかつてを振り返りながら、友人たちの様々な生き方を綴る現代韓国文学。
2014年の作品なのでまさに現代日本ともシンクロしている世界。大半は高校時代の話で、休みや放課後にどうやって過ごすか。なにげない日常風景が読んでいて心地よく、楽しいことが起こらなくても楽しく読める。
女子高生なので本来はかなりはしゃいでいるのかもしれないが、語り手の彼女の落ち着いた性格もあってか、大人の感覚と変わらない。当然大人になってから当時の自分たちを振り返っているので、それだけの人間観が反映されている。そこが年齢を超えた味わいとなっていて、20代でも90代でも読んで心に響く作品だと思う。
10代を共有した同い年の人間はいくつになっても分かり合えるものかもしれない。
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