漫画家まどの一哉ブログ
「われら」
読書(mixi過去日記より)
「われら」
ザミャーチン作 岩波文庫
200年戦争が終わり、全地球を征服した単一国が誕生して1,000年。恩人様の支配により、人々は睡眠・生殖を含む全生活を、時間律法表で定められたとおりに行っていた。全ての建造物はガラス張りであり、守護者(秘密警察)による監視も徹底している。
自然状態の動植物は、人工物だけで構成された都市をめぐる壁の向こう側に排除されていた。
今にも飛び立たんとする宇宙船インテグラルの制作担当者D-503は、女性I-330に出会って以来、生活が一変。どうやら魂の発生という病気らしい。彼女を追ってたどりついた博物施設「古代館」に迷い込むうち、単一国政府に異を唱える自由な人間(古代人)の集団にめぐり会った。しかし、インテグラル打ち上げ前日、全国民に想像力を奪う脳手術が強制されようとしていた。
1920年代、発表されるや反ソビエトの宣伝小説と批判され、スターリン政権下で亡命せざるをえなかった、ザミャーチンの傑作近未来小説。独裁政権と科学技術が結びついた、暗黒の未来を的確に描く。
ただしこの小説、映画「未来世紀ブラジル」や「マイノリティリポート」を観るように、ストーリーを追ってわくわくと楽しめるかというとさにあらず。散文詩のように、心象が描写され、読者はむしろ沈鬱なイメージの中へ引き込まれ、一章ごとに作者の詩的遊戯を味わうという仕掛け。それ故に捨てがたい名作となった。
「われら」
ザミャーチン作 岩波文庫
200年戦争が終わり、全地球を征服した単一国が誕生して1,000年。恩人様の支配により、人々は睡眠・生殖を含む全生活を、時間律法表で定められたとおりに行っていた。全ての建造物はガラス張りであり、守護者(秘密警察)による監視も徹底している。
自然状態の動植物は、人工物だけで構成された都市をめぐる壁の向こう側に排除されていた。
今にも飛び立たんとする宇宙船インテグラルの制作担当者D-503は、女性I-330に出会って以来、生活が一変。どうやら魂の発生という病気らしい。彼女を追ってたどりついた博物施設「古代館」に迷い込むうち、単一国政府に異を唱える自由な人間(古代人)の集団にめぐり会った。しかし、インテグラル打ち上げ前日、全国民に想像力を奪う脳手術が強制されようとしていた。
1920年代、発表されるや反ソビエトの宣伝小説と批判され、スターリン政権下で亡命せざるをえなかった、ザミャーチンの傑作近未来小説。独裁政権と科学技術が結びついた、暗黒の未来を的確に描く。
ただしこの小説、映画「未来世紀ブラジル」や「マイノリティリポート」を観るように、ストーリーを追ってわくわくと楽しめるかというとさにあらず。散文詩のように、心象が描写され、読者はむしろ沈鬱なイメージの中へ引き込まれ、一章ごとに作者の詩的遊戯を味わうという仕掛け。それ故に捨てがたい名作となった。
PR