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漫画家まどの一哉ブログ

   
「眠らない街・新宿鮫」
映画(mixi過去日記)
「眠らない街・新宿鮫」1993年
監督:滝田洋二郎
原作:大沢在昌
出演:真田広之/田中美奈子/奥田瑛二


大沢在昌のハードボイルド小説「新宿鮫」シリーズを、自分は過去8作ほど読んでいる。主人公の鮫島刑事が孤立した設定で、そういう枠が嵌められているせいか、スラスラと読めて、エンターテイメントの醍醐味を味わうことができる。もっとも大沢在昌で一番面白かったのは「天使の牙」で、ほかに3作ほど挑戦したが、ばかばかしくてついていけなかった。とは言っても、「天使の牙」だって脳が移植されている女刑事という、かなり奇想天外な設定で、このあくまで自分にとっての読める読めないの違いが、どこからくるのか自分でもわからない。

さて、映画は「おくりびと」で各種賞をもらった滝田洋二郎監督作品だが、全体に平板な印象だった。ストーリーと役どころに一歩踏み込んだものがない。でも真田広之は理想通りのかっこよさ。
それにも増して良かったのは、奥田瑛二演ずるゲイの改造銃を製作する男で、アジトに真田広之を捕まえて、なぶり殺しにしようとするシーンが迫真的だった。へらへらと笑いながら、相手の肉体を欲しつつもナイフで傷つけ、拳銃を口に差し込み「俺の銃を舐めてほしいと言ってみろ」と迫る。まさに異常な人格だが、こんな人間は実際いくらでもいるはず。いかにも人間とは破綻したものである。そして共同体に常に内包されているものである。

これは奥田瑛二の表現力が優れているのだと思う。例えば田中美奈子は、絵に描いたようなロック少女というダッサイ役を、まったく膨らませていない。他の刑事役も同じ。奥田瑛二の狂気が観れてよかった。

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