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原民喜を読む
読書
原民喜を読む

「美しき死の岸に」:作者の妻の病がだんだんと重くなり、やがて死に至るまでの一連の連作。そのなかでとうとう妻が死んでしまう話。悲しい話だが、日本文学史上もっとも美しい散文といわれるだけのことはあって、例えば室内楽を聴いているような澄み切った美しさ。

「夏の花」:広島での被爆体験を語った代表作。これは事実が脚色なしに克明に綴られる。散文の名手だけに、この事実はカタカナで書きなぐるのがふさわしい、としている箇所があるのがおもしろい。アカクヤケタダレタ ニンゲンノ死体ノキミョウナリズム

「鎮魂歌」:この小説だけが珍しく観念的で、作者の想念が、かけめぐる言葉のままにくり返すリズムにのせて演奏されていくような書き方をしている。客観的事実よりもこころの動きを忠実においかけるカタチで、好きな人は好きだろうが、自分はだめだった。

事実の推移は、まるで新聞記事を読むくらいの分かりやすさがあるが、それでいて人物のこころのうごきも手に取るようにわかる。それが澄んだきれいな文章で書いてあるから、内容が深刻でも読んでいてとても気持ちがよい。

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