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漫画家まどの一哉ブログ

   
「偶然のチカラ」
読書
「偶然のチカラ」
植島啓司
 著

過去に読んだA・ケストラー「偶然の本質」、I・エクランド「偶然とは何か」に続いて偶然シリーズ3冊目である。また、この著者のエッセイは過去に2冊ほど面白く読んだ記憶がある。水木さんが「偶然の神秘」とかいった漫画を描いていたと思うが、自分も偶然に対する関心は途切れることがない。

とは言っても冷静に考えると、やはり確率と統計のはなしになるので、それはしかたがない。
主観的には何故自分にこんなことが起きるのか?と不思議に思うことでも、確率から見ればそれくらいのことならたまにはあるだろということだ。そして何故それが自分に起きるのかという理由は別にないのだ。

著者は学者でありながらギャンブラーでもあるので、いきおい話はルーレットなど賭博の運不運におよぶが、ここが確率と統計だけでは補い得ないところである。誰しも自分の選択が正しかったかどうかは解らない。あのとき別の手をうっていれば、現在いい結果が出たかどうかは検証しようがない。ただ人間自分で決めたことには執着心が出るので、ただしいギャンブラーはできるだけ自分で決めずに様子を眺め、他人に決めさせよ。とのことである。これも偶然のチカラ?

さてここで唐突に、かの有名なカオス理論のバタフライ効果を持ち出してみれば、宇宙には無関係なことなど存在していない。全ての因果系列は繋がりがある。それならものは考えようで、自分の身に起きること全ては必然であると考えても間違いではあるまい。因果だねえ…。

かの南方熊楠も因果については考えていて、原因と結果を結ぶ直線が何本もあるとすると、当然この線はそれぞれ独立した必然性を持っている。そしてこの線は互いに理由もなく交差するが、まさにこの交点こそが偶然である。熊楠は縁という言葉で表現している。縁は異なものである。

著者曰く、もし無人島で一人暮らししているとすれば偶然を感じるだろうか?おそらく感じないのではないか。するとやはり偶然とは他者の営みとの交わり・縁というところに成り立つのではないか。
というわけで今回も解ったような解らなかったようなところまで進んだ。

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