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「上海の蛍」 武田泰淳
読書
「上海の蛍」 武田泰淳 作


1944年、上海の東方文化協会で日本語の書物を中国語に翻訳する仕事をすることになった若き武田泰淳。理事長の家に下宿して始まった上海での日々を描く。事務所では中国・日本双方から集まった学者や職員が働いているわけだが、日中友和のためと称するこの事業自体が中国人から見ればありえないキレイゴトであり、中国人職員達は心の底では冷めていたのではないか。そこを詳しく論じる教養は自分にはない。


中国戦線を経験していた中国文学研究家の作者が、上海での新しい体験になにを思っていたか?直接的に語られているわけではない。ただ大らかに遠慮なく過ごした。酒さえ飲んでしまえば怖い者なしで、言いたいことは何でも言う。大声で叫び夜の街を練り歩く傍若無人のありさま。やはり日本人の特権でなにをやっても大目に見られていたのだろうか。多くは語らないが屈折した青年だった自身を晩年に書いた。これが遺作だ。


当時の中国には、なにを目的としていたのか自分には興味がないが、上海以外にも有名な日本の小説家が仕事で滞在していたようで、文学会議ともなると火野葦平や田村俊子、高見順、阿部知二らが顔を出す。そんなふう。

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