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漫画家まどの一哉ブログ

   
「ビリー・バッド」メルヴィル

読書
「ビリー・バッド」 
メルヴィル 


商船から戦艦に徴用された青年ビリーは、少年の心を持った純粋無垢な愛されるハンサムボーイ。それ故に邪心ある者の嫉妬を買い、計略によって叛乱のぬれぎぬを着せられ、あげくの果てに殺人事件を犯してしまう。このような純真な青年が実際いるかどうかは別にして、悪意ある者の存在や、狭い社会での制裁のあり方など、人間社会に永遠についてまわる問題。さすがメルヴィル、社会派の筆が冴える。


実際メルヴィルが船に乗って外洋に出ていたのは25歳までだったそうで、その後「白鯨」その他数冊出版するが結局小説では食えず、47~66歳までは税関で検査官として働いているのだから、ふつうのまっとうな人間である。社会と人間が描けるタイプの作家だ。


今回は光文社古典新訳文庫で読んだが、メルヴィルのちょっと古風な味わいをうまく活かした訳文になっているそうでなかなか良かった。メルヴィルの文章はけっして面白みのあるものではなく、どちらかというと堅苦しいが、そこが良い。訳文しか知らないで言うのもなんだが、硬派な文章を読む快感がある。もちろん文章の美しさもある。またストーリーの本筋を逸脱して、船舶や船内労働に関する蘊蓄を傾ける所は「白鯨」に同じ。これも持ち味。
翻訳小説は旧訳にふだん馴染んでいて、新訳もよいが現代口調が過ぎると台無しにされた感じがする。

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