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漫画家まどの一哉ブログ

   
「ガルヴェイアスの犬」 ジョゼ・ルイス・ペイショット
読書
「ガルヴェイアスの犬」
ジョゼ・ルイス・ペイショット 作


ポルトガルの小さな村ガルヴェイアス。ここに暮らす様々な人々と村をうろつく犬たち。
珍しいのは物語冒頭、宇宙から巨大ななにものかが真夜中に村の野原に落ちてきて、すさまじい轟音と振動に人々は飛び起き、村中硫黄の臭いで満たされてしまう。隕石であるとはひとことも言われることなく、最後まで村の暮らしは硫黄臭の中で進行するのだ。
「宇宙では、何百万キロと離れたつねに夜のような場所を、名のない物がとてつもない速度で出発したところだった。狙いは定まっていた。名のない物が決意を持って邁進する様子を惑星、恒星、彗星が観察しているようだ。ーーー宇宙を乱暴に引き裂いて進む名のない物も、道中の静謐をやぶることはできなかった。万物から遠く離れているものの、宇宙の秩序の一部に組み込まれた旅は呼吸をするかのごとく自然に続けられた。」この文章を見てもこの作品のただならない格調がわかる。
そしてその夜驚いて往来にわらわらと溢れた人々の人生が順番に繰り広げられる。大人たちに文字を教えようとしていじめられる若い女教師・アフリカに隠し子とその家族を持つ郵便配達夫・パン屋兼娼館の女主人・常に酒びたりの神父・そして往来を行き来する犬たち。

年寄りから子供まで、様々な人生の局面が描かれる人間ドラマなのだが、人情のやり取りはごく表面的なもので、どうにもならない運命に翻弄されながら生まれ育った小さな土地に足跡を残して死んでいく様子は、大きな目で見れば人生は皆たいして変わらないかのようだ。隕石が落ちて来ることが宇宙的視点というわけではないのだが、この小さな村に落ちてきた名もない巨大な物は、村の様々な逸話を押しとどめる文鎮のような役割だった。

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