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「アルフィエーリ悲劇選 フィリッポ サウル」 ヴィットリーオ・アルフィエーリ

「アルフィエーリ悲劇選 フィリッポ サウル」
ヴィットリーオ・アルフィエーリ 作
(幻戯書房ルリユール叢書・菅野類 訳)

18世紀イタリアでサスペンスを含む劇的な作風を立ち上げたアルフィエーリ。ロマン主義の先駆的作品2話を収録。

巻末には現代評論の抜粋や訳者による丁寧な解説があって、アルフィエーリ作品の革新性と歴史的経緯がよくわかるが、今となってはごく普通の表現なので我々はただ楽しんで読むことができる。
頑迷なる国王の権力がいかに恐ろしいか、善意だけでは打ち勝てない悲劇を描いて、ロマン主義の魅力たっぷりの作品だ。

「フィリッポ」:フィリッポとは全盛期のスペイン国王フェリペ2世のこと。王子カルロは許嫁であったイサベッラを父親であるフィリッポに奪われても逆らうこともできない。史実ではカルロ(カルロス)とイサベッラ(エリザベート)は相次いで死んでいるのだが、作者はこの史実を元に権力者フィリッポの嫉妬と実子にも容赦ない非情ぶりを作り上げた。恐ろしい話だ。

「サウル」:旧約聖書を下敷きに、イスラエル王サウルの晩年の混乱と勇者ダヴィット(ダビテ)の困惑を描く。サウルは追従者の中傷に簡単に左右されて命令は二転三転である。「国を手に入れるために、兄は弟を殺し、子供は母親を殺し、夫は妻を殺し、息子は父親を殺す……血と、残虐の座なのだよ、王座とは。」このサウルのセリフが権力の本質を雄弁に物語る。

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