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「とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢」 ジョイス・キャロル・オーツ
読書
「とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢」
ジョイス・キャロル・オーツ 作
(河出文庫)


著者自選短編集。「ミステリ/ホラー/ファンタジーの垣根を越えて」という謳い文句で幻想文学的なものを期待したが、まっとうな通俗小説だった。文章は人物の心理描写含めてストーリー進行のために費やされているので、読みやすいが鑑賞するところはない。したがって2ページ読んだらゲンナリして本を閉じてしまうことも多いが、スリリングなシーンではさすがに目が離せない。

「とうもろこしの乙女」:少女監禁ミステリー。犯人は同じ学校の3歳年上のパラサイトぎみの秀才少女で、その歪んだ過剰な自意識がおそろしい。この少女の人物造形が作品の緊張感を生んで成功している。
「化石の兄弟」「タマゴテングダケ」:この2作とも活発で外向的だが誠実さのない兄と、病弱で内向的な芸術家肌の弟の対立と破滅という話。バルザックの人間喜劇「ラブイユーズ」を思い出す。
「頭の穴」:美容整形外科医が金に目がくらんで密かに頭蓋穿孔手術を行い失敗するミステリー。手術シーンが恐ろしい。手術を失敗した外科医が果たして逃げおおせるのか最後まで書いていないが、おそらく無理っぽい。

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