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漫画家まどの一哉ブログ

   
「ちびのツァッヒェス」
読書
「ちびのツァッヒェス」
E・T・A・ホフマン
 作

ある貧しい農家に生まれたツァッヒェス。小さな体で、こぶのように丸まった背中、盛り上がった両肩の間に埋まった頭、枝のように貧弱な足、もじゃもじゃの髪にとがった鼻。言葉もろくに話せなかったが、あわれに思った心優しい修道女にもらわれていく。この修道女が実は妖女であり、後年ツァッヒェスは魔法の力によってみるみる出世していくのだ。
ところがこのツァッヒェスは主人公ではなく悪役である。その魔法とは他人の成功はみな自分のものとし、自分の失敗はすべて他人のやったことにしてしまうというもの。周りいるもの皆魔法にかかってツァッヒェスを持ち上げ、あげくは大臣にまで昇りつめ、学園のアイドル的美女と婚礼を迎えんとする。

ヒーローは詩才豊かな大学生バルタザール。友人と協力してツァッヒェスの秘密を探り、愛する学園のアイドルを取り戻そうと格闘。そしてついに秘密が暴かれ、魔法は効力を失い、ちびのツァッヒェスはあわれな最期を迎えるといったお話であります。

作者ホフマンは、このあわれな人物に特別な情けをかけるわけではなく、物語は読者の好きな華やかな婚礼シーンで終わり、ツァッヒェスは置き去りだ。彼が死んで「ああ、かわいそうな身の上だったなあ」といったラストではないのだ。ツァッヒェスはあくまで不気味な奇形児というキャラクターで、その性格も実に俗物でイヤなやつに描かれており、読者が彼に感情移入することは防がれている。

この物語が書かれたのが1819年。まだメルヘンの世界では畸形は非常にアクの強いキャラクターで、魔法使いとして登場するのがふつうだったのではないか?そのへんはよくわからなくて、「生まれつき体の不自由な人を笑い者にしてはいけない」というセリフもあるが、内面が粗野な人間はどのみち幸福にはなれないというオチになっているのは、作者ホフマンの作戦だったのではないかとも思った。

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