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漫画家まどの一哉ブログ

   
掌編漫画誌「土地」第二集(mixi日記より)
独自の活動を続ける山坂書房。この漫画集には彼らが追求する日常切り取り漫画が集まっている。事件性は薄いが、その分リアリズムが大いにあって、いかにも日常そのものの迫真性を感じる。そこはかとない内容で、中身がないと言えばないが、そこを楽しむことができる。例えば代表される大西真人作品では、ふつう漫画では拾わないだろう日常の会話が、かなりゆっくりと丁寧に綴られてゆくので、読む者がその場に居合わせたようなリアリティが感じられておもしろい。この方法がやがてどう実を結ぶのか興味津々だ。それは日常の何処を切り取ってくるかという作者の目線にあるわけだが、いまのところ今までの漫画が描くべきだとしていた濃い部分を拾ってくる気はないとみえる。そこが既存の漫画を読み馴れた目からみればもの足りなく、また逆に風味なのです。

山坂の両輪のうち一方の三好吾一作品は、資料写真からフリーな描線で場の光を表現するのがうまいので、絵が心にしみてくる。これも小学校の小さなエピソードを描いた、秀逸の風味漫画。かってに風味漫画と呼んでいるが、この方法に徒に内容を求めるのでなく、じわりじわりと熟成してくるのを待ちたい。

そして炭子部山貝十先生の漫画はさすがに中身が濃い。このリアルなしっかりした生活者ドラマを、こんな粘りのある楽しい絵で読めるなんてシアワセ。作者の体験をしっかり活かして、ドラマに出来る。異才の中に実力あり。読もう!


miyazakikume     「友引の雨」
大鯵温州        「ふるさと小包」
大嶋宏和        「これからの私たちに起こること」
大西真人        「桃」
キクチヒロノリ      「ともだち」
高橋マナブ       「ニコニコ屋」 
炭子部山貝十     「ビバ限界集落」
永田智子        「白線」
藤田みゆき       「手駒」
藤本和也        「下校物語」
三好吾一        「ひとごと」
もぐこん(遠藤俊治)  「山坂それと知らず古戦場を歩く」

http://www.yamasaka-shobo.com/

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