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漫画家まどの一哉ブログ

   
手塚治虫雑感5
mixi過去日記より
コマ割りと時間

こうしてみると手塚漫画のコマ割りはけっこう細かい。オーソドックスな漫画の場合、コマ割りとは時間の流し方のことだから、コマ割りが細かいと言うより、カット割りが細かいということ。ところが手塚作品は時間の流し方に特徴があって、かなり大胆に展開する内容が小さな数コマで終わったかと思うと、表情の変化だけを何コマも使って追っていく。すると作品時間が不思議な感覚で伸び縮みする。これがよく言われてきた手塚の映画的手法というやつか?ボクには未だによくわからない…。単に細かいコマを多用する漫画家も多いが、手塚のような時間の流れは感じないし…。

ボクが親しんできた水木・つげラインの漫画はわりと単純なコマ割りだが、別に不足もない。つげ忠男や勝又進はほとんど同じ大きさのコマを単調にくり返すが、ストーリーに頼らない内容だから、全く退屈しない。ようするにコマとは内容によって必然的に決定されるものだ。漫画の特徴はコマ割だと考えて、あえて作為的な割り方をした人もいるが、児戯に等しいと思う。

とっくの昔に漫画はコマ展開によって時間を追っていくことから解放されていて、林静一から始まって、鈴木翁二・菅野修・斉藤種魚に至るまで、コマを追っても(少なくとも単線的には)時間が進まない。時間は行きつ戻りつするし、ある場合には時間そのものがない。自由だ。

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