漫画家まどの一哉ブログ
「アベル・サンチェス」 ミゲル・デ・ウナムーノ
読書
「アベル・サンチェス」
ミゲル・デ・ウナムーノ 作
(幻戯書房)
幼なじみでありながら、つねに周囲の人気者でしだいに画家としての名声を博してゆく友人。自身は医者として地道な人生を歩みながらも、この友人への嫉妬心に終生とらわれてあがきながら生きていく。
嫉妬、嫉妬、嫉妬。複雑に人間関係がからみあいながらも、全編結局果たされない嫉妬と復讐の物語だ。たしかにすぐ身近に恋人をも奪い、自分の得られないものを本人は意識するでもなく簡単に手に入れていく友人がいれば、嫉妬と復讐が人生の基本的な態度となるかもしれない。いかようにごまかそうとも自分に嘘はつけない。悲しいことだがこれも人間だ。この作品もそうだが、旧約聖書カインとアベルを下敷きに書かれた作品は世界に多くあろう。親しき者の間に起こる嫉妬ゆえの憎しみは、解決できない人間の業のようなものなのだろうか。
哲学的といえばそうだが、主要テーマだけが直球で書かれた感があり、多少息苦しさを感じる。文芸作品としての遊びがなく、生活の具体性があまり描かれていない。日常の些細な出来事や、なんということもない心の移りゆき、身の回りの自然や街の臭いが足りない。こういう作品は味わい方がまた違うのかもしれない。
「アベル・サンチェス」
ミゲル・デ・ウナムーノ 作
(幻戯書房)
幼なじみでありながら、つねに周囲の人気者でしだいに画家としての名声を博してゆく友人。自身は医者として地道な人生を歩みながらも、この友人への嫉妬心に終生とらわれてあがきながら生きていく。
嫉妬、嫉妬、嫉妬。複雑に人間関係がからみあいながらも、全編結局果たされない嫉妬と復讐の物語だ。たしかにすぐ身近に恋人をも奪い、自分の得られないものを本人は意識するでもなく簡単に手に入れていく友人がいれば、嫉妬と復讐が人生の基本的な態度となるかもしれない。いかようにごまかそうとも自分に嘘はつけない。悲しいことだがこれも人間だ。この作品もそうだが、旧約聖書カインとアベルを下敷きに書かれた作品は世界に多くあろう。親しき者の間に起こる嫉妬ゆえの憎しみは、解決できない人間の業のようなものなのだろうか。
哲学的といえばそうだが、主要テーマだけが直球で書かれた感があり、多少息苦しさを感じる。文芸作品としての遊びがなく、生活の具体性があまり描かれていない。日常の些細な出来事や、なんということもない心の移りゆき、身の回りの自然や街の臭いが足りない。こういう作品は味わい方がまた違うのかもしれない。
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