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漫画家まどの一哉ブログ

   
「黄色い部屋の謎」 ガストン・ルルー

読書
「黄色い部屋の謎」ガストン・ルルー 作
(創元推理文庫)

完全なる密室に響き渡る悲鳴と銃声。ようやくドアをこじ開けた室内には襲われた女性以外には誰もいなかった!犯人はどこへ?密室トリックの古典的名作。

ふだん推理小説を読む習慣はないが、「オペラ座の怪人」の作者ガストン・ルルーの傑作という案内にひかれて読んでみた。訳者は現代読者にとっての読みやすさと古典の味わいの両立を心がけたそうだが、たしかに古風で魅力的な書きっぷりだった。

この作品が発表された1908年時点で、作中で言及されるポー「モルグ街の殺人」から約70年、コナン・ドイル「まだらの紐」から約20年経っている。世に推理小説の下地は十分行き渡って、こなれていたであろうところに出現した密室ミステリーというところか。

ルルーの筆致がそのミステリーの枠内に収まるものか、そうでないのかわからない。自分などは全くトリックや真犯人を考えてみようともしないで読んだが、探偵小説を読んで犯人を追っているだけではない面白さがあった。
古城で起きた事件とはいえあまり暗さがなく、むしろ軽快なリズムで話が進んで行く心地よさを感じた。

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