漫画家まどの一哉ブログ
「髪結いの芸術家」 レスコフ作品集2
読書
「髪結いの芸術家」レスコフ作品集2
(群像社)
19世紀後半に活躍したロシアの物語作家レスコフの短編集。
はっきりとストーリーがあり、その行方にハラハラする組み立て。短編らしいオチのある作品もあるが、なかなかどんでん返しやハッピーエンドに持っていかないところがリアリズムか。誰それから伝え聞いたほんとうの話。作者になり代わってその誰それ本人が語る実話。という体裁をとるのも読者の気をひくひとつの手法である。
「哨兵」:人道的には溺れ掛けている人間を救うのが当たり前だが、持ち場を離れてはいけない哨兵の立場。法を犯して人命を救助したために罰を受けることが、キリスト教的にも是とされるという現実を突きつけて終わってしまう。心の問題として満足するしかないという悲しい限界は、作者の問題定義なのだろうか。
「ジャンリス夫人の霊魂」:実在した人物を登場させるのも演出的効果なのかもしれない。ただし霊体となっている。この霊魂の勧めるままに朗読した文章がヤマで、そのあと急転直下で話は終わる。盲目の女性が触って勘違いしたのは下ネタなのかな?
「髪結いの芸術家」:天才メークアップアーチストと舞台女優の悲恋。雇い主の伯爵の品の無さと暴力性が生む悲劇。最後は物語の外へ出て、その悲しい思い出を語る元女優の現在が描写される。こういう二重構造もよくあるが、作品を落ち着いたものにしてくれる。
「髪結いの芸術家」レスコフ作品集2
(群像社)
19世紀後半に活躍したロシアの物語作家レスコフの短編集。
はっきりとストーリーがあり、その行方にハラハラする組み立て。短編らしいオチのある作品もあるが、なかなかどんでん返しやハッピーエンドに持っていかないところがリアリズムか。誰それから伝え聞いたほんとうの話。作者になり代わってその誰それ本人が語る実話。という体裁をとるのも読者の気をひくひとつの手法である。
「哨兵」:人道的には溺れ掛けている人間を救うのが当たり前だが、持ち場を離れてはいけない哨兵の立場。法を犯して人命を救助したために罰を受けることが、キリスト教的にも是とされるという現実を突きつけて終わってしまう。心の問題として満足するしかないという悲しい限界は、作者の問題定義なのだろうか。
「ジャンリス夫人の霊魂」:実在した人物を登場させるのも演出的効果なのかもしれない。ただし霊体となっている。この霊魂の勧めるままに朗読した文章がヤマで、そのあと急転直下で話は終わる。盲目の女性が触って勘違いしたのは下ネタなのかな?
「髪結いの芸術家」:天才メークアップアーチストと舞台女優の悲恋。雇い主の伯爵の品の無さと暴力性が生む悲劇。最後は物語の外へ出て、その悲しい思い出を語る元女優の現在が描写される。こういう二重構造もよくあるが、作品を落ち着いたものにしてくれる。
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