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漫画家まどの一哉ブログ

   
「現代の英雄」 レールモントフ
読書
「現代の英雄」レールモントフ 作
(光文社古典新訳文庫)

26歳で決闘死した熱血の英雄レールモントフ。カフカスを行く若き軍人ペチョーリンを主人公に短編5作で構成された著者の代表作。

長いものも短いものも惜しげなくドラマがあり、クセのある人物が多く登場。喜怒哀楽も盛んに、しっかり山場もあるおもしろさ。情景や人物の描写も一歩突っ込んだ情熱がある。
主人公ペチョーリンは社交界をはじめとして世のすべてに虚無を感じ、学問にも戦争にも幻滅し、そんな自分を不幸な人間と思っている男。才は立つが誠実さに欠けるところ大いにある印象だ。

「ベラ」:ロシア人は基本的にカフカス人を馬鹿にしているので、土地の女ベラを愛人としたペチョーリンの本心は遊びだと思う。比類なき名馬を乗りこなす荒くれ者や馬欲しさに姉を売る弟など、問題人物多数登場。
「公爵令嬢メリー」:作品の中核をなす中編。ペチョーリンは社交界の中心となり公爵令嬢の気をひくが、本気で令嬢を愛しているわけではない。またかつての妻だった女性とも情を深めるという、要するに二股である。やはり誠実さ感じないが、けっきょく周囲の人間に引きずられているのではないか。もっと誠実に朴訥に人を愛し、我が道を行けば良いではないか。
「タマーニ」:貧しい浜辺の家に宿を借り、盲目の少年や謎の小娘そして船でやってくる小悪党の悪事にまきこまれる。短いながらも人物が個性的で非日常を味わえる。
「運命論者」:ロシアンルーレットでたまたま不発だったことが、運命の存在を証明するという理屈が、一読して理解できない。

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