漫画家まどの一哉ブログ
「ロサンゼルスへの道」 ジョン・ファンテ
読書
「ロサンゼルスへの道」ジョン・ファンテ 作
(未知谷)
自身をモデルに書かれた若き作家志望の青年の独白。過剰な自意識を圧倒的な饒舌体で描く。作者死後発見されたシリーズ第1弾。
安アパートに母・妹と暮らす青年バンディーニ。下町暮らしでただひとり読書家でインテリ。職を転々としたあげく魚の缶詰工場で悪臭にまみれながらいやいや働いている。
あまりにも高すぎるプライド。休むことなく繰り出される大量の減らず口。これがまさに真正減らず口というほどにひどいもので実に不毛の極み。長編ながら本文のほとんどが、過大な妄想と空回りする膨大な雑念で埋め尽くされる。世界文学多しといえどこんな登場人物にはなかなか出会えない。
主人公は自分のような天才がこんな下町に埋もれていることへの怨念と屈折があるが、寡黙に文学への研鑽を積むというのではなく、脳内の鬱屈はすべてまわりへ発散。考えることはなんの現実味もなく、成功した未来の空想と身の回りの瑣末なこだわりばかり。思考の無駄を積み重ねる毎日だ。
これでは人生はまったく前へ進まないが、しかしその妄想エネルギーはすさまじく、これがもっと有意な方向に注がれればしだいに人生は開けるであろう。なす術はなく思いばかりが重なっていく。これが青春だ。
「ロサンゼルスへの道」ジョン・ファンテ 作
(未知谷)
自身をモデルに書かれた若き作家志望の青年の独白。過剰な自意識を圧倒的な饒舌体で描く。作者死後発見されたシリーズ第1弾。
安アパートに母・妹と暮らす青年バンディーニ。下町暮らしでただひとり読書家でインテリ。職を転々としたあげく魚の缶詰工場で悪臭にまみれながらいやいや働いている。
あまりにも高すぎるプライド。休むことなく繰り出される大量の減らず口。これがまさに真正減らず口というほどにひどいもので実に不毛の極み。長編ながら本文のほとんどが、過大な妄想と空回りする膨大な雑念で埋め尽くされる。世界文学多しといえどこんな登場人物にはなかなか出会えない。
主人公は自分のような天才がこんな下町に埋もれていることへの怨念と屈折があるが、寡黙に文学への研鑽を積むというのではなく、脳内の鬱屈はすべてまわりへ発散。考えることはなんの現実味もなく、成功した未来の空想と身の回りの瑣末なこだわりばかり。思考の無駄を積み重ねる毎日だ。
これでは人生はまったく前へ進まないが、しかしその妄想エネルギーはすさまじく、これがもっと有意な方向に注がれればしだいに人生は開けるであろう。なす術はなく思いばかりが重なっていく。これが青春だ。
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