漫画家まどの一哉ブログ
「蚤の親方」 E.T.A.ホフマン
読書
「蚤の親方」E.T.A.ホフマン 作
主人公は実業家の息子であり、膨大な資産を持ちながら30代にして女性恐怖症、家から一歩も出ないオタク青年である。寄り添うのは顕微鏡技術者によって曲芸師とされていた蚤の親方。虫のくせして実はかなりの人間通であり、親方の持つ特殊なコンタクトレンズを主人公青年の瞳孔に貼り付けると、話し相手の本心がたちどころにわかるという仕掛けだ。
また青年をとりこにする絶世の美女はチューリップの花の中から出てきた妖精であり、恋敵の友人は薊(アザミ)の化身であるという超絶ファンタジー。かなりのアクロバットでぎりぎり成立しているが、リアリズムとの折り合いをどうつけるかが腕の見せ所だ。ちょっと失敗しているかもしれない。1822年作品。
大人のためのメルヘンというと、必ず風刺的な部分があって、そこを評価・論評されることも多く、この作品も当時のホフマンの置かれた政治的状況を多分に語っているのだが、それは後世の読者にはただちにわからないところであり、そこばかり触れなくてもよいと思う。現実を含みながら飛躍するメルヘンの楽しさがあるのだから。
「蚤の親方」E.T.A.ホフマン 作
主人公は実業家の息子であり、膨大な資産を持ちながら30代にして女性恐怖症、家から一歩も出ないオタク青年である。寄り添うのは顕微鏡技術者によって曲芸師とされていた蚤の親方。虫のくせして実はかなりの人間通であり、親方の持つ特殊なコンタクトレンズを主人公青年の瞳孔に貼り付けると、話し相手の本心がたちどころにわかるという仕掛けだ。
また青年をとりこにする絶世の美女はチューリップの花の中から出てきた妖精であり、恋敵の友人は薊(アザミ)の化身であるという超絶ファンタジー。かなりのアクロバットでぎりぎり成立しているが、リアリズムとの折り合いをどうつけるかが腕の見せ所だ。ちょっと失敗しているかもしれない。1822年作品。
大人のためのメルヘンというと、必ず風刺的な部分があって、そこを評価・論評されることも多く、この作品も当時のホフマンの置かれた政治的状況を多分に語っているのだが、それは後世の読者にはただちにわからないところであり、そこばかり触れなくてもよいと思う。現実を含みながら飛躍するメルヘンの楽しさがあるのだから。
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