漫画家まどの一哉ブログ
「蒼老たる浮雲」 残雪
読書
「蒼老たる浮雲」残雪 作
(白水Uブックス)
梶の木の下に建つ棟続きの2軒長屋。隣り合って住む二組の夫婦。二組ともあまり世間と親和的ではないが、見張るようにやってくるそれぞれの親や近隣の者が常に批判的・攻撃的で安閑としない。そのせいか一人になった妻はやがて鉄格子の中に閉じこもるようになる。
汗・虫・ネズミその他グロテスクなイメージが匂いたつ、いつもの残雪の世界。相変わらず会話は勝手に話者の思いを言い合うばかりで、相手の言ったことを受けて喋らない。これもなんだか辛いものがある。ひたすら不毛なことをくりかえす人生だ。
さて、この表題作は設定がしっかりしているので、あるていど安心して読める。やはり少しは起きていることを追っていける合理性があったほうが読みやすい。
その点併録の3短編はなにが起こっているのやら把握するのが大変で、もちろんその整合性を崩していくことに狙いがあるにしても、この混乱を味わうのは一苦労だ。これを作品の出来不出来に回収するのは違っていると思うが、個人的には程度の問題としてそこまで過激でなくても良いといった感想です。
「蒼老たる浮雲」残雪 作
(白水Uブックス)
梶の木の下に建つ棟続きの2軒長屋。隣り合って住む二組の夫婦。二組ともあまり世間と親和的ではないが、見張るようにやってくるそれぞれの親や近隣の者が常に批判的・攻撃的で安閑としない。そのせいか一人になった妻はやがて鉄格子の中に閉じこもるようになる。
汗・虫・ネズミその他グロテスクなイメージが匂いたつ、いつもの残雪の世界。相変わらず会話は勝手に話者の思いを言い合うばかりで、相手の言ったことを受けて喋らない。これもなんだか辛いものがある。ひたすら不毛なことをくりかえす人生だ。
さて、この表題作は設定がしっかりしているので、あるていど安心して読める。やはり少しは起きていることを追っていける合理性があったほうが読みやすい。
その点併録の3短編はなにが起こっているのやら把握するのが大変で、もちろんその整合性を崩していくことに狙いがあるにしても、この混乱を味わうのは一苦労だ。これを作品の出来不出来に回収するのは違っていると思うが、個人的には程度の問題としてそこまで過激でなくても良いといった感想です。
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