漫画家まどの一哉ブログ
「英国諜報員アシェンデン」 モーム
読書
「英国諜報員アシェンデン」サマセット・モーム 作
現実に諜報員の仕事をしていたモームが、自身の体験をもとに書いたスパイ小説の鏑矢。
訳者の技術もあるかもしれないが、実に読みやすくサラサラと進む心地よい文章。実体験をなぞったものなので、スパイ小説だからといって作為的な仕掛けがないのがいい。第1次大戦下、ドイツとの情報戦の最中で敵に身を売る者、調べもせずに報告をよこす者、暗殺の相手を間違える者、商用でロシアを訪れ革命に巻き込まれる者など悲喜劇が相次ぐ。
異色なのはスパイの動向から離れた短編「英国大使」。上流階級で教養も高く資産もある英国大使が、場末のホールを転々とする曲芸師の女に惚れ込んでしまい、わずかの間だがその尻を追いかけて行くエピソード。結局は自身にふさわしい知的な女性と結婚し、エリートとしての人生を歩み始めるが、それでも心の奥底では何もかも捨ててあの踊り子と旅をして暮らすのが本心だったと涙ながらに語る。これはいい。
「英国諜報員アシェンデン」サマセット・モーム 作
現実に諜報員の仕事をしていたモームが、自身の体験をもとに書いたスパイ小説の鏑矢。
訳者の技術もあるかもしれないが、実に読みやすくサラサラと進む心地よい文章。実体験をなぞったものなので、スパイ小説だからといって作為的な仕掛けがないのがいい。第1次大戦下、ドイツとの情報戦の最中で敵に身を売る者、調べもせずに報告をよこす者、暗殺の相手を間違える者、商用でロシアを訪れ革命に巻き込まれる者など悲喜劇が相次ぐ。
異色なのはスパイの動向から離れた短編「英国大使」。上流階級で教養も高く資産もある英国大使が、場末のホールを転々とする曲芸師の女に惚れ込んでしまい、わずかの間だがその尻を追いかけて行くエピソード。結局は自身にふさわしい知的な女性と結婚し、エリートとしての人生を歩み始めるが、それでも心の奥底では何もかも捨ててあの踊り子と旅をして暮らすのが本心だったと涙ながらに語る。これはいい。
PR
COMMENT