漫画家まどの一哉ブログ
「若人よ蘇れ・黒蜥蜴」他一篇 三島由紀夫
「若人よ蘇れ・黒蜥蜴」他一篇
三島由紀夫 作
(岩波文庫)
三島の戯曲作品三篇を収録。舞台劇ならではのケレン味ある,まさに劇的な世界。
「若人よ蘇れ」:終戦の前日・当日を迎える学生寮の学生たちの不安と困惑。徹底抗戦隊の包囲も解け、駆けつけた助教授の喜びの言葉「明治維新の歪められた近代の代りに、平和・自由・人類のために今度こそ本当の講義が始まる。古き全体主義は二度と復活しないでしょう」
この言葉を読んで昨今の政治状況がなんとも嘆かわしい。こんな世の中になるとは…。
「黒蜥蜴」:江戸川乱歩原作の推理ドラマなのでいかにも奇想天外・荒唐無稽。そんな変装や声色がバレないわけないだろ!など野暮なことは言わず、三島美学の真骨頂、様式美を楽しもう。ふだん気色悪い三島の世界を離れ、苦手な乱歩の世界よりも良かった。舞台で見るのがなによりだろう。
「喜びの琴」:警察庁公安課を舞台に、デモを含め左翼運動の動きを密かに追いかける。公安職員は全員アカ嫌いで、まあそういうものだろうが、思想性は置くとしても舞台が事務所から離れず、大事件が起きてもセリフだけの表現で全体が平板な印象はまぬがれない。
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