漫画家まどの一哉ブログ
「脳を司る脳」 毛内拡
読書
「脳を司る脳」毛内 拡 著
(講談社ブルーバックス)
ニューロンによる情報の伝達のみが脳の働きではない。脳の隙間を埋める髄液やグリア細胞の知られざる働きを探る最新脳科学。
近頃はセロトニンやドーパミンなど、我々でもその働きをよく聞く脳内物質が、なんと間質液で満たされた脳の細胞外スペースを伝わって広がっていくとは。そこまで考えたことなかった。
この細胞外物質が金属よりも電気を蓄える能力を持っていることが縷々解説され、シナプスを介さない信号のワイヤレス伝送に役立っているのかもしれないとのこと。これもまだ謎。
IQの高い人の方が神経細胞の密度が低くシンプルで、脳の活動の度合いが低いと言われれば意外な気もするが、自分の脳が少し考えただけで悲鳴をあげてショートしそうになることを顧みれば肯ける。
グリア細胞アストロサイトがストレスから立ち直る心や、アイデアのひらめきに関係しているなど、おもしろかった。人間意識の謎に迫るかとも期待したが、そうでなくとも「こころのはたらき」には充分関与しているらしい。
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