漫画家まどの一哉ブログ
「外道忍法帖」 山田風太郎
読書
「外道忍法帖」山田風太郎 作
(河出文庫)
天正遣欧施設の秘宝をめぐって繰り広げられる、由井正雪一党・天草残党・隠れキリシタン童貞女。計45人の忍者たちの凄絶なる戦いの行方やいかに!?
ひさしぶりに読んでみた山田風太郎の忍法帖シリーズ。これはそんなに長編でもないわりに、なんと各々15人ずつの忍者が3党入り乱れての秘術合戦でありいかにも多い。もう物語も後半になるとてきぱきとシステマティックに進行して、忍者も登場して術を披露するやいなや死んでいく。もう少し人数を減らして一人一人丁寧に描いてくれてもよかったかと思うが、これもひとつの実験なのか。
忍法は相変わらずの人体の一部を異様に拡張・変形させて使う、エロチックでグロテスクなものだが、着想に限界はないように思われる。もちろん作品は娯楽に徹した荒唐無稽なものだが、この忍術の奇妙奇天烈な発想は、芸術とは別のなんだか捨てがたい幻想味があって、これはこれで貴重なものだと思う。
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