漫画家まどの一哉ブログ
「私の個人主義」 夏目漱石
読書
「私の個人主義」 夏目漱石 著
「現代日本の開化」「文芸と道徳」他、漱石の講演集。文明開化というものがいかに外から行われた無理矢理な変化であったか。それこそ高度成長期以上の急激な社会の変化だったわけだが、文明の発達とは人間活力の消耗をできるだけ防ごうとする消極的活動の結果だという見解。動きたくない、手間を省きたいということ。それもそうだ。
「私の個人主義」 夏目漱石 著
「現代日本の開化」「文芸と道徳」他、漱石の講演集。文明開化というものがいかに外から行われた無理矢理な変化であったか。それこそ高度成長期以上の急激な社会の変化だったわけだが、文明の発達とは人間活力の消耗をできるだけ防ごうとする消極的活動の結果だという見解。動きたくない、手間を省きたいということ。それもそうだ。
明治以前のように道徳・徳育といったものが忠・親・孝・悌など多分に大義名分偏重なものだったころと比べ、近年は自然主義小説的に個人の挫折や情欲を正直にさらけだしてもよいことになった。ずいぶんくだけた。これを進化と捉え、天下国家を憂える発言でなければならなかった旧道徳や浪満主義的な小説世界から人間の知識が発達したと解説する。なるほど。
だいたい朝から晩まで国家国家と考えていられるものではなく、危急のときでなければ、普段は個人の生計を立てることに邁進しているのがあたりまえである。と健全な個人主義を説く。そうそう。
漱石に対する興味本位で読んだが、社会的視点はさすがに鋭くまっとうなことを言う。
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