漫画家まどの一哉ブログ
「マイケル・K」 J.M.クッツェー
読書
「マイケル・K」 J.M.クッツェー 作
内戦の続く南アフリカ。生まれつき口唇裂で頭の回転も遅いマイケル。母親をその出身地まで手製の手押し車に乗せて移住を試みるが、途中母親は死んでしまい、その後孤独な放浪生活が始まる。
マイケルはたとえ仕事や食事を確保されても収容されることがキライで、キャンプからも脱走し、荒れ地を耕してこっそりと作物を作り鳥や昆虫も食べて生き延びるが、当然栄養失調は避けられず病院へ運ばれる。それでも与えられたものを食べようとせず、修行僧のようにやせ衰え、やがて病院からも姿を消してしまう。
あえて餓えの間近に身を置いてまで社会を離れ自由を選ぶが、主義主張があってそうしているわけではなく、大人になる過程で育まれた性格が、母親を亡くして一人となった時点で自然とそうさせたようだ。
人間は社会的動物であるが世の中にはときどき人と交わろうとせずたった一人で生きていこうとする人もいる。この作品も多くが主人公が一人で創意工夫してかぼちゃなどを育て、見つからないように密かに行動しながら生きて行く描写に費やされている。最低限身体を維持できるだけのものを食べて、季節の流れとともにゆっくりした時間で(まさに作物が成長する時間で)生きて行くのはどんな気持ちだろう。誰でも心の底には生命維持の基本的感覚があると思うが、社会と接点を持っているとそれ以外の諸々めんどうなことに心を砕かねばならない。ほんとうに一人で生きていればそれはない。読んでいるとまさにその感覚が呼び覚まされる気がした。
「マイケル・K」 J.M.クッツェー 作
内戦の続く南アフリカ。生まれつき口唇裂で頭の回転も遅いマイケル。母親をその出身地まで手製の手押し車に乗せて移住を試みるが、途中母親は死んでしまい、その後孤独な放浪生活が始まる。
マイケルはたとえ仕事や食事を確保されても収容されることがキライで、キャンプからも脱走し、荒れ地を耕してこっそりと作物を作り鳥や昆虫も食べて生き延びるが、当然栄養失調は避けられず病院へ運ばれる。それでも与えられたものを食べようとせず、修行僧のようにやせ衰え、やがて病院からも姿を消してしまう。
あえて餓えの間近に身を置いてまで社会を離れ自由を選ぶが、主義主張があってそうしているわけではなく、大人になる過程で育まれた性格が、母親を亡くして一人となった時点で自然とそうさせたようだ。
人間は社会的動物であるが世の中にはときどき人と交わろうとせずたった一人で生きていこうとする人もいる。この作品も多くが主人公が一人で創意工夫してかぼちゃなどを育て、見つからないように密かに行動しながら生きて行く描写に費やされている。最低限身体を維持できるだけのものを食べて、季節の流れとともにゆっくりした時間で(まさに作物が成長する時間で)生きて行くのはどんな気持ちだろう。誰でも心の底には生命維持の基本的感覚があると思うが、社会と接点を持っているとそれ以外の諸々めんどうなことに心を砕かねばならない。ほんとうに一人で生きていればそれはない。読んでいるとまさにその感覚が呼び覚まされる気がした。
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