漫画家まどの一哉ブログ
「真昼の悪魔」 遠藤周作
読書
「真昼の悪魔」遠藤周作 作
サイコパスという存在がまだあまり知られていない時代にかかれた作品。他者への同情心をまったく持たない乾いた心の持ち主である女医。彼女がひそかに巻き起こす病院内での奇怪な事件。非情な実験台とされる患者。近づいてきては逆に残酷に弄ばれる男たち。そしてその恐ろしさを説く神父。
もともとエンターテイメント(ミステリー)を意識して書かれた作品なのか、驚くほどのあっさりした文体で歯ごたえはないがスラスラ読める。もちろん文章は上品である。
遠藤周作であれば当然キリスト者としての視点から善と悪の問題が描かれていると思うが、そこを解説するのは登場する神父だ。神父は「悪魔」は目に見えるような姿ではなく、まるで埃のようにそれと気づかれない形で忍び寄り、すぐそばでほくそ笑んでいるという。感情や欲望にかられるのではなく、ただ淡々と冷たい心で行われる悪事。これこそがほんとうの悪ではないか。
あえてテーマを読み解くとすればこのあたりとは思うが、作品自体は良質のサスペンスとしてしっかり楽しめるようにできていた。
「真昼の悪魔」遠藤周作 作
サイコパスという存在がまだあまり知られていない時代にかかれた作品。他者への同情心をまったく持たない乾いた心の持ち主である女医。彼女がひそかに巻き起こす病院内での奇怪な事件。非情な実験台とされる患者。近づいてきては逆に残酷に弄ばれる男たち。そしてその恐ろしさを説く神父。
もともとエンターテイメント(ミステリー)を意識して書かれた作品なのか、驚くほどのあっさりした文体で歯ごたえはないがスラスラ読める。もちろん文章は上品である。
遠藤周作であれば当然キリスト者としての視点から善と悪の問題が描かれていると思うが、そこを解説するのは登場する神父だ。神父は「悪魔」は目に見えるような姿ではなく、まるで埃のようにそれと気づかれない形で忍び寄り、すぐそばでほくそ笑んでいるという。感情や欲望にかられるのではなく、ただ淡々と冷たい心で行われる悪事。これこそがほんとうの悪ではないか。
あえてテーマを読み解くとすればこのあたりとは思うが、作品自体は良質のサスペンスとしてしっかり楽しめるようにできていた。
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