漫画家まどの一哉ブログ
「武蔵野」 国木田独歩
読書
「武蔵野」国木田独歩 作
再読。文庫本巻末にモーパッサンの短編を重訳した作品が掲載されているが、独歩こそ日本のモーパッサンとも呼べる作家ではなかろうか。私小説が発達する以前の、豊かな着想と人間観察によって市井のひとびとを描いて人生の悲哀に迫る作風。
手を替え品を替えどれも短編ならではの醍醐味があるが、自分はやはり生活に即した会話本位の作品が好きだ。どの作品も会話がほんとうに生き生きとしていて、本人に出会っているような真実味がある。
「郊外」:小学校の教員である男の下宿先まわりでのエピソードを三編合わせたもの。画家志望の友人が近在の百姓親父に絵をやることになったはなし。踏切前の八百屋がしょちゅう鉄道自殺を見るはなしなど。いろんな人物が入り乱れてにぎやかな作品。シリーズ化できそうだ。
「置土産」:茶店で働く二人の娘と近所の気楽な偏屈青年とのやりとりが主だが、この娘たちがさばさばしていて快活で楽しい。夜の海で泳いだりする。元気元気。
「河霧」:立身出世を夢見て故郷を出た男が、20年経ってようやく落ちぶれて帰って来る。村の人々は喜んで迎え入れてくれるのだが、男は既に人生そのものにも疲れ果てていた。この男の寂しさ・やるせなさが心に沁みてくる。
「武蔵野」国木田独歩 作
再読。文庫本巻末にモーパッサンの短編を重訳した作品が掲載されているが、独歩こそ日本のモーパッサンとも呼べる作家ではなかろうか。私小説が発達する以前の、豊かな着想と人間観察によって市井のひとびとを描いて人生の悲哀に迫る作風。
手を替え品を替えどれも短編ならではの醍醐味があるが、自分はやはり生活に即した会話本位の作品が好きだ。どの作品も会話がほんとうに生き生きとしていて、本人に出会っているような真実味がある。
「郊外」:小学校の教員である男の下宿先まわりでのエピソードを三編合わせたもの。画家志望の友人が近在の百姓親父に絵をやることになったはなし。踏切前の八百屋がしょちゅう鉄道自殺を見るはなしなど。いろんな人物が入り乱れてにぎやかな作品。シリーズ化できそうだ。
「置土産」:茶店で働く二人の娘と近所の気楽な偏屈青年とのやりとりが主だが、この娘たちがさばさばしていて快活で楽しい。夜の海で泳いだりする。元気元気。
「河霧」:立身出世を夢見て故郷を出た男が、20年経ってようやく落ちぶれて帰って来る。村の人々は喜んで迎え入れてくれるのだが、男は既に人生そのものにも疲れ果てていた。この男の寂しさ・やるせなさが心に沁みてくる。
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