漫画家まどの一哉ブログ
「白い病」 カレル・チャペック
読書
「白い病」カレル・チャペック 作
(岩波文庫)
大戦を目前に広がるパンデミック。唯一の治療法を武器に、戦争へ突入しようとする軍人・武器商人と対決するひとりの医師。彼は貧しい者の味方だった。チャペック晩年の名作戯曲。
社会に対する風刺や批判などの明確な意図を持って構成された作品は、どうしても熟れない生硬な印象になりがちで、チャペック作品もそれを感じないことはないのだが、そこをわかっていてもさすがに面白い。戦争をあおって儲けようとする社会の上級階級はいかにもな立場でわかりやすいが、実際の姿だから納得ができる。戯画化されているわけではないのだ。
登場する正義感あふれる医師の理想主義は、われわれの時代の平和運動の皮切りである。各国が武器を捨てて歩み寄る夢は未だ実現しない。チャペックが取り上げたこの時代に始まるやいなや平和運動は限界に達していた。このあと何年かかるか長い長い幾世代もの平和への戦いがこの作品で始まった。
「白い病」カレル・チャペック 作
(岩波文庫)
大戦を目前に広がるパンデミック。唯一の治療法を武器に、戦争へ突入しようとする軍人・武器商人と対決するひとりの医師。彼は貧しい者の味方だった。チャペック晩年の名作戯曲。
社会に対する風刺や批判などの明確な意図を持って構成された作品は、どうしても熟れない生硬な印象になりがちで、チャペック作品もそれを感じないことはないのだが、そこをわかっていてもさすがに面白い。戦争をあおって儲けようとする社会の上級階級はいかにもな立場でわかりやすいが、実際の姿だから納得ができる。戯画化されているわけではないのだ。
登場する正義感あふれる医師の理想主義は、われわれの時代の平和運動の皮切りである。各国が武器を捨てて歩み寄る夢は未だ実現しない。チャペックが取り上げたこの時代に始まるやいなや平和運動は限界に達していた。このあと何年かかるか長い長い幾世代もの平和への戦いがこの作品で始まった。
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