漫画家まどの一哉ブログ
「木魂・毛小棒大」
読書(6/11mixi日記より)
「木魂・毛小棒大」
里見 弴
古谷野敦が選んだ里見弴の埋もれた短編集。里見弴は大衆小説から純文学まで大量にどんどん書いた人だ。しかもここに収録されている「小坪の漁師」は92歳の時の作品。有名な「極楽とんぼ」だって80歳を過ぎて書いているのだから驚きだ。スラスラ書けるのかしらん?文体もスラスラしていて、あっというまに読み進んでしまう、流れるような語り口。それに面白いのは会話で、さすがに口調は昔風だが、男女のやり取りが軽妙洒脱、それでいてリアル。中公文庫。
「海の上」:主人公の友人が、以前雄大な山の上でひとりぼっちだった時、不思議と性的興奮を覚えて自慰行為に走ったそうだが、この主人公も周りに誰もいない海上で全裸になってしまう。この広大な空間の中なのに誰も見ていないという状況でおきる、ふしぎな性衝動を描いためずらしい小説。
「長屋総出」:2~30年このかた住み着いたきりの長屋の住人たち。この設定で連続コメディなど書けそうだ。この短編ではある家の女中がなんか様子がおかしいと思っていると、急に発狂してしまって家を飛び出す。さあそのままにはしておけないので長屋住人総出で街中を探しまわるという大騒動。捕まえては逃げられたりしてね。
「文学」:若い頃作家志望で東京を流浪し、今は人形職人となっている男が久しぶりに小説を書いた。自分の人生がモデルだ。その小説と、それを読んでいる女房という現在のシーンが交代に出てくる、小説ない小説の形式。わかいころ世話になり迷惑もかけたプロ作家にその作品をみてもらうが…。人間的成長と文学的才能は別のものだったか?
「木魂・毛小棒大」
里見 弴
古谷野敦が選んだ里見弴の埋もれた短編集。里見弴は大衆小説から純文学まで大量にどんどん書いた人だ。しかもここに収録されている「小坪の漁師」は92歳の時の作品。有名な「極楽とんぼ」だって80歳を過ぎて書いているのだから驚きだ。スラスラ書けるのかしらん?文体もスラスラしていて、あっというまに読み進んでしまう、流れるような語り口。それに面白いのは会話で、さすがに口調は昔風だが、男女のやり取りが軽妙洒脱、それでいてリアル。中公文庫。
「海の上」:主人公の友人が、以前雄大な山の上でひとりぼっちだった時、不思議と性的興奮を覚えて自慰行為に走ったそうだが、この主人公も周りに誰もいない海上で全裸になってしまう。この広大な空間の中なのに誰も見ていないという状況でおきる、ふしぎな性衝動を描いためずらしい小説。
「長屋総出」:2~30年このかた住み着いたきりの長屋の住人たち。この設定で連続コメディなど書けそうだ。この短編ではある家の女中がなんか様子がおかしいと思っていると、急に発狂してしまって家を飛び出す。さあそのままにはしておけないので長屋住人総出で街中を探しまわるという大騒動。捕まえては逃げられたりしてね。
「文学」:若い頃作家志望で東京を流浪し、今は人形職人となっている男が久しぶりに小説を書いた。自分の人生がモデルだ。その小説と、それを読んでいる女房という現在のシーンが交代に出てくる、小説ない小説の形式。わかいころ世話になり迷惑もかけたプロ作家にその作品をみてもらうが…。人間的成長と文学的才能は別のものだったか?
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