漫画家まどの一哉ブログ
「愛と憎しみの傷に/他」 田中英光デカダン作品集
読書
「愛と憎しみの傷に/他」田中英光デカダン作品集
(講談社文芸文庫)
何の隠すところもなく、お互いの過去を完全にさらけ出した上での、夫婦の性愛でなければ満足しないというあまりにもピュアな完全主義。これは社会や人生に対する絶望の裏返しだろうか?
夫婦生活への失望のあげく繰り返された、プロの娼婦ーいわゆる街角の天使たちとの交流。一連の作品は自分のことより女たちに焦点を当てていて、彼女たちのしたたかな人生が実に痛快。作者がデカダンとはいえ、これは落ち着いた目線で書かれており楽しく読める。
ところがその後、運命の魔性の女が登場するに至ると、家庭を顧みないどころではなく、常時酒と催眠剤に惑溺し、暴れ出し、精神病院に入院し、もう彼女とは別れると言いながら(読んでいると絶対別れられるわけがないと思う)、幼児が母親に甘えるように女との性愛に溺れていく。まさに破滅へ一直線。強烈な読書体験を得た。
「愛と憎しみの傷に/他」田中英光デカダン作品集
(講談社文芸文庫)
何の隠すところもなく、お互いの過去を完全にさらけ出した上での、夫婦の性愛でなければ満足しないというあまりにもピュアな完全主義。これは社会や人生に対する絶望の裏返しだろうか?
夫婦生活への失望のあげく繰り返された、プロの娼婦ーいわゆる街角の天使たちとの交流。一連の作品は自分のことより女たちに焦点を当てていて、彼女たちのしたたかな人生が実に痛快。作者がデカダンとはいえ、これは落ち着いた目線で書かれており楽しく読める。
ところがその後、運命の魔性の女が登場するに至ると、家庭を顧みないどころではなく、常時酒と催眠剤に惑溺し、暴れ出し、精神病院に入院し、もう彼女とは別れると言いながら(読んでいると絶対別れられるわけがないと思う)、幼児が母親に甘えるように女との性愛に溺れていく。まさに破滅へ一直線。強烈な読書体験を得た。
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