漫画家まどの一哉ブログ
「困ってるひと」大野更紗
読書
「困ってるひと」 大野更紗 著
「困ってるひと」 大野更紗 著
重度の自己免疫疾患に見舞われて、数々の症状を併発。国内でも非常に珍しい難病の体験者となった著者の悲しくも明るい闘病記。
かのブッダ言うところの人間の4つの苦しみ、生・病・老・死。これらはみな自分の意志とは無関係にやってくるモノなのである。こればっかしはどうにもならない。そして病気というヤツは、これも自分の予測に反してやってきて、人生行路の諸段階を激変させてしまうのである。実に困ったもんだ。
その病気との闘いがあまりに明るいタッチで書かれており、わくわくと楽しい気分で読んでしまう。病いそのものはもとより、医者や福祉制度との格闘も様々だ。しかしその実非常に過酷な話であって、病院生活の後半、だんだんと自身の孤独を知り、恋する人を想うあたりは、どうしても本をなんどか中断しなければ読めなかった。それだけ辛く重い中身なのであるが、それさえもこんな明るい描写に変えてしまうところに、著者の資質とはいえ絶望を乗り越えた人の強さを感じた。
人間明るく笑って過ごしたほうが免疫力が上がって病気にならないもんだが、自己免疫疾患の場合、免疫がアップすると病気が悪化するならば、この矛盾をどうしたもんだろう。
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