漫画家まどの一哉ブログ
「博士の愛した数式」 小川洋子
読書
「博士の愛した数式」小川洋子 作
(新潮文庫)
記憶が80分しか持たない老数学博士。家政婦として通う私はやがて10歳の息子ともども友人としてかけがえのない時間を過ごす。数学の不思議と人生の悲しみと喜びを描いたベストセラー。
身近な出来事や体験をもとに書かれたリアリズム小説ではなく、あえてこしらえた設定の、一種の奇想小説と思う。
記憶がないため毎日が初対面となってしまうことの寂しさ。それでも1日がスタートすれば、数学にしか興味のない博士の人間愛にあふれた純粋な性格に心温まる。数学、おもに素数の不思議なふるまいを読み物として取り入れながら、違和感なく登場人物といっしょになって謎を追う楽しさ。またプロ野球阪神タイガースの当時の試合と往年のヒーロー江夏の物語もふんだんに出てくるのも作品を彩り豊かにしておもしろい。
博士と家政婦の私とその息子の3人だけのあったかい世界と、理解なき周囲の冷たい人々の対比も効果的。文庫本オビには泣きましたとあるが、そんなことはないハッピーエンドに思える。オイラーの公式がなぜ母屋に住む未亡人を納得させたかわからなかった。
「博士の愛した数式」小川洋子 作
(新潮文庫)
記憶が80分しか持たない老数学博士。家政婦として通う私はやがて10歳の息子ともども友人としてかけがえのない時間を過ごす。数学の不思議と人生の悲しみと喜びを描いたベストセラー。
身近な出来事や体験をもとに書かれたリアリズム小説ではなく、あえてこしらえた設定の、一種の奇想小説と思う。
記憶がないため毎日が初対面となってしまうことの寂しさ。それでも1日がスタートすれば、数学にしか興味のない博士の人間愛にあふれた純粋な性格に心温まる。数学、おもに素数の不思議なふるまいを読み物として取り入れながら、違和感なく登場人物といっしょになって謎を追う楽しさ。またプロ野球阪神タイガースの当時の試合と往年のヒーロー江夏の物語もふんだんに出てくるのも作品を彩り豊かにしておもしろい。
博士と家政婦の私とその息子の3人だけのあったかい世界と、理解なき周囲の冷たい人々の対比も効果的。文庫本オビには泣きましたとあるが、そんなことはないハッピーエンドに思える。オイラーの公式がなぜ母屋に住む未亡人を納得させたかわからなかった。
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