漫画家まどの一哉ブログ
「サンソン回想録」 オノレ・ド・バルザック
読書
「サンソン回想録」オノレ・ド・バルザック 作
(国書刊行会)
代々死刑執行人を務めるサンソン一族の誠意と苦闘の歴史を、歴史資料をもとにバルザックならではの筆致でドラマティックに綴った一冊。
サンソン家のみならず他国の死刑執行人のエピソードも含めて、一人称のルポルタージュ小説から老若男女入り乱れるドラマまで、バラエティい豊かな構成。
作品の背景には、現代に先んじて少しも劣らないバルザックの死刑廃止論があり、また死刑執行人に対する差別意識を告発する問題意識も。主人公サンソンではなくバルザック本人の語りかと勘違いしたくらい熱を帯びる。それだけに最初の数章は真面目な社会派小説といったやや堅苦しい印象を受けた。
しかしいろんな物語が混じった作品であるので、いかにもバルザック人間喜劇の面白さそのものといったドラマもある。
「アンリ・サンソンの手稿」:若きアンリがいよいよ父親の仕事を継いで受刑者への拷問・処刑に臨むエピソード。同じく執行人の家に生まれながら反死刑を貫こうとする恋人マーガレットとの確執・苦悶、両家両親の期待などドラマ立て要素たっぷりで遠慮なく劇的なこの話がいちばん面白い。
「山の女王ビビアーナ」:イタリアの死刑執行人ジェルマノのエピソード。人々の恨みと復讐をかう死刑執行人をあえて強気でやりとおすジェルマノだが、山中の行路でさらわれ山の女王ビビアーナの拷問を受ける。市民社会を離れ、まるで劇画のような派手な設定とアクションが展開されて娯楽性たっぷり。
「サンソン回想録」オノレ・ド・バルザック 作
(国書刊行会)
代々死刑執行人を務めるサンソン一族の誠意と苦闘の歴史を、歴史資料をもとにバルザックならではの筆致でドラマティックに綴った一冊。
サンソン家のみならず他国の死刑執行人のエピソードも含めて、一人称のルポルタージュ小説から老若男女入り乱れるドラマまで、バラエティい豊かな構成。
作品の背景には、現代に先んじて少しも劣らないバルザックの死刑廃止論があり、また死刑執行人に対する差別意識を告発する問題意識も。主人公サンソンではなくバルザック本人の語りかと勘違いしたくらい熱を帯びる。それだけに最初の数章は真面目な社会派小説といったやや堅苦しい印象を受けた。
しかしいろんな物語が混じった作品であるので、いかにもバルザック人間喜劇の面白さそのものといったドラマもある。
「アンリ・サンソンの手稿」:若きアンリがいよいよ父親の仕事を継いで受刑者への拷問・処刑に臨むエピソード。同じく執行人の家に生まれながら反死刑を貫こうとする恋人マーガレットとの確執・苦悶、両家両親の期待などドラマ立て要素たっぷりで遠慮なく劇的なこの話がいちばん面白い。
「山の女王ビビアーナ」:イタリアの死刑執行人ジェルマノのエピソード。人々の恨みと復讐をかう死刑執行人をあえて強気でやりとおすジェルマノだが、山中の行路でさらわれ山の女王ビビアーナの拷問を受ける。市民社会を離れ、まるで劇画のような派手な設定とアクションが展開されて娯楽性たっぷり。
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