漫画家まどの一哉ブログ
「たそがれの人間」 佐藤春夫
読書
「たそがれの人間」 佐藤春夫 作
「たそがれの人間」 佐藤春夫 作
文豪佐藤春夫の怪異小品集。
純粋な創作怪異小説以外の経験談や読書感想記などを集めたもので、そのせいか美的文体を駆使して怪異をもりあげるのではなく、ごく平易なエッセイ風の記述である。化物屋敷と言われる曰く付き物件に実際に住んだ経験や、後輩であり友人である稲垣足穂の愉快なエピソードなど。また与謝蕪村や建部綾足の怪異作品を現代文で紹介。
「道灌山」:なんどもかかってくる間違い電話。こちらを目白坂の佐藤というのはあたっているが、道灌山だと名乗る女房の姉にまったく心当たりがない。後日道灌山から引っ越した人物を探し求めて人が訪ねてくるが、これもよくわからない妙な体験談。
「歩上異象」:ある夕方、田舎道の路上に目に見えない竜巻のような物体が現れて前へ進めない。友人はキツネかタヌキのイタズラだろうと思ってしばし格闘する。どうやらそこはよく陥没の起きる土地で、古井戸の不完全に埋められた場所であったらしい。
PR
COMMENT