漫画家まどの一哉ブログ
「そら」 吉田知子選集3
読書
「そら」吉田知子選集3
土俗的というほどでもない、ちょっと古びた地方都市の日常ではあるものの、知らないうちにズルズルとシュールレアリスムが進行していく。自分にとって吉田知子の楽しみはその辺りなのだが、この短編集を見るとかなり器用にいろいろな作風を繰り出せる人のようだ。
個人的には「箱の夫」が好みで、この夫というのは小さな箱に入ってしまうほどの全身に毛が生えているパソコンを自在に操る得体の知れない人間?で、なんだかはっきりしないが、姑に対しては妻の味方になってくれるようだ。
そうかとおもうと「ユエビ川」のようにどこか大陸の荒涼とした平原の只中に立つホテルに集められた男たちの逃げ場のない毎日。カフカ的と言ってしまおう。
また、「幸福な犬」では飼い犬の設定ながら実は半分人間の女であり、犬と言いながら陰湿な態度で夫に意思表示する妻のニュアンスをしつこいばかりに表現。こうやってある夫婦の日常を描くこともできる。たじたじとした。
同じ犬でも「犬と楽しく暮らそう」はホームレスの青年が常に脳内の見えない犬と楽しく暮らしていてほほえましい。
「そら」吉田知子選集3
土俗的というほどでもない、ちょっと古びた地方都市の日常ではあるものの、知らないうちにズルズルとシュールレアリスムが進行していく。自分にとって吉田知子の楽しみはその辺りなのだが、この短編集を見るとかなり器用にいろいろな作風を繰り出せる人のようだ。
個人的には「箱の夫」が好みで、この夫というのは小さな箱に入ってしまうほどの全身に毛が生えているパソコンを自在に操る得体の知れない人間?で、なんだかはっきりしないが、姑に対しては妻の味方になってくれるようだ。
そうかとおもうと「ユエビ川」のようにどこか大陸の荒涼とした平原の只中に立つホテルに集められた男たちの逃げ場のない毎日。カフカ的と言ってしまおう。
また、「幸福な犬」では飼い犬の設定ながら実は半分人間の女であり、犬と言いながら陰湿な態度で夫に意思表示する妻のニュアンスをしつこいばかりに表現。こうやってある夫婦の日常を描くこともできる。たじたじとした。
同じ犬でも「犬と楽しく暮らそう」はホームレスの青年が常に脳内の見えない犬と楽しく暮らしていてほほえましい。
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