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「巨匠とマルガリータ」(上) ブルガーコフ

「巨匠とマルガリータ」(上)
ブルガーコフ 作
(岩波文庫)

突如モスクワの街に現れた3人の悪魔。繰り出される魔術に翻弄される人々と詩人の運命は?ブルガーコフの代表的幻想長編小説。

再読。(以前は池澤夏樹個人編集-世界文学全集で読んだが、ほとんど忘れている。)
冒頭、幻視とともに悪魔の親玉が現れ、痛ましい電車事故であわれ編集長の首が飛ぶ。この非常事態を同席して目撃した宿なし詩人は懸命に警察に犯人(悪魔)逮捕を訴えるが信用されず、挙句の果ては精神病院送りにされてしまう始末。
遠慮のないほど、ただならない事件の連続で飽きさせない。この辺りの様々な奇怪な出来事の出し入れは、通俗的エンターテイメントを遥かに凌ぐ面白さ。なにせ読者が予想できるであろう展開は皆無なのだ。悪魔たちキャラクターの魅力もなおさらで、特に人語を操る巨大な黒猫が秀逸である。

社会や人生について直接的なテーマが感じられることもなく、悪魔に翻弄される人間たちの狼狽をひたすら見ることになる。主人公かと思われた宿なし詩人は精神病院内で巨匠と名乗る文学者と知り合い、ここで初めて真の主人公が登場。しかし上巻ではまだこの箇所のみで、恋人マルガリータの活躍も本格的には下巻を待たなければならない。

はたして悪魔たちは何の目的で現れたのか?巨匠とマルガリータの運命やいかに!?全ては後編で!

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