漫画家まどの一哉ブログ
「視霊者の夢」 カント
「視霊者の夢」
カント 著
(講談社学術文庫・金森誠也 訳)
一世を風靡したスヴェーデンボリの「霊視現象」。これを疑問視する若きカントがいきいきと軽妙な筆致で徹底的批判。(再読)
もとよりカントは神や魂の存在を否定しているわけではないのでそれらの証明は措くとして、「霊視」を理詰めで検証していく。たしかに目に見えるということは物質がその空間を占有していることであり、霊体が見えるということはそこには場所があり、霊体は他のものと同時に存在することはできないはず。ここらは筋の通った理屈でありそれはそうだ。
眠っている時の夢は起きた後夢だったと判断できるし、目覚めている時の空想はあきらかに自分の脳内のことと認識できる。ところがその自分の空想のうち霊界に関することがらだけを、空想とは別の客観的な存在として切り離せるとはどういう脳の働きだろうか。どうしても脳の故障・狂気と判定せざるをえない。これがカントの本音であり全くそのとおりだ。
私レベルで非常に簡単に理解すればこういったことだが、当然悟性や理性、経験や概念などの用語を厳密に使った形而上学の著述となっていて、正しさが何重にも精密に塗り重ねられた世界だ。
この「霊視現象」自体は類似体験として見てきたような形になるが、本来もっと違った何かであるような逃げ場があった気がします。
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