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漫画家まどの一哉ブログ

   
「肖像画」
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「肖像画」
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 作

いかにも自分好みの幻想文学だった。貧乏画家が安値で手に入れた不思議な肖像画。そこには恐ろしい表情でにらみつけるアジア人が描かれていて、その目はあまりに生き生きとした本物の目のような迫力、見る者を釘付けにするのだ。そんな肖像画を部屋に置いたばかりに、主人公の画家は悪夢に悩まされることになるが、ある日夢の中で手にした大金が、ほんとうに肖像画の額縁のなかに隠されていて、それから画家の運命は大きく変わっていく。
画家は売れていくにしたがってしだいに努力しなくなり、お客の肖像画を注文に応じてインスタントに仕上げる俗物に成り下がっていく。有名画家として名士の一員に名を連ねたけれども、かつての才能の萌芽はどこえやら、ある日ほんとうに素晴らしい新人の作品に出会って、激しい後悔の念に襲われたが、もはやかつての才能は失われていて凡庸な絵しか描くことができなくなっていた。
そして画家は金にものをいわせて優れた作家の絵を買いとるや、それを引き裂く行為に陥って悪夢のうちにこの世を去るのだった。

悪魔的な幻想のうちに引き込まれてしまった主人公が、やがて破滅に至るというのが自分の好きな幻想文学の典型。リアリズムの中での悪魔的な幻想がよい。この小説では主人公の破滅はまったく本人のせいだが、不思議な肖像画がそのきっかけを作っている。破滅するのは簡単なものである。
第二部ではこの恐ろしい肖像画の来歴が明かされる。岩波文庫「狂人日記」所収

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