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「白鳥の歌/貝の音」

読書
「白鳥の歌/貝の音」

井伏鱒二 作

この短編集には純粋な空想による時代劇なども数作含まれているが、自分としては作者が日常の中で出会った出来事を繋いでいったような作品が好みだ。けっこう題材として愉快なことがあるもんだ。

「白鳥の歌」:瀬戸内の因島にある医院の二階に下宿している学生時代の作者。港町の劇場付きの下宿には、旅の一座が背負った借金のカタに、後桐という女形が置き止めをくらっていた。モルヒネ中毒の発作でよく医院へ飛び込んでくるこの男に頼まれ、チェーホフの「白鳥の歌」を歌舞伎風に翻案することになってしまう。

「下足番」:早稲田江戸川橋にあった娘義太夫の定席によく気のつく下足番がいたが、最近行ったある料理屋旅館の番頭によく似た男がおり、問うてみると果たして本人だった。山形の田舎出身の彼は、実は村の川にかかる橋を爆破して逃げてきたいきさつがあった。

「病中所見」:作者は甲州へアンゴラ兎を買い付けにいって突然ギックリ腰を発症してしまう。なじみの旅館までタクシーでのりつけて、女将や女中に教わったとおりに腰をいたわりながら過ごした数日の話。

土地の旦那からなじみの芸者を隠す話や、女将が世話を焼いているぼんやりした見習い青年の話など。

どの話も市井の人々の飾らない会話を読んでいるだけで楽しい。現代の教養ある都市生活者の日常じゃこの楽しさは出ない。

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