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「奇跡の脳」

読書

「奇跡の脳」 ジル・ボルト・テイラー 著

 

脳神経科学者である著者が脳内出血に襲われ、言語中枢など左脳の機能を部分的に失ってしまう。その失われる過程とその後の数年間のリハビリによる回復の様子を綴った希有のレポート。右脳と左脳の役割の実感など、プロによる自己分析がすばらしい。

先ず発病の朝、感覚の異常さから自身の左脳の役割がどんどん衰えていく描写が生々しい。どのニューロンが働かなくなって、自分の感覚がどう変化してゆくのかを如実に体験描写している。そのあと得られた境地が右脳による支配であって、実にこれが宇宙との一体感・ニルヴァーナというものだった。

左脳はそもそも世界と自分との境界を設定し、時間を与え、ものごとを分析し計画し、この世界でわれわれが行きていくための段取りをつけているのだが、この機能がなくなるということは、世界と自分の境界は消滅して自分は宇宙の一部となり、個体は消失して流体となり、宇宙の全てのエネルギーと結ばれた存在であるという至福の境地に浸ることができるのだ。

 

これは脳科学の間では回答とされていた、宗教的な涅槃の状態が、実は脳神経の特殊な作用によるものであることの実証である。だからといって著者はこの状態を異常なこととして退けるのではなく、人間のより幸福な生き方の手がかりとして意識して行きていくことを呼びかけるのである。左脳に支配され過ぎの現代人にとって、右脳の働きを呼び覚ますことは、これからの人類社会にとって実に大切なことなのだ。そしてそれは宗教的体験に頼らずとも、脳の働きを理解した上で意識的にたどりつける世界なのである。

 

和訳は竹内薫、文庫本の解説は養老孟司と茂木健一郎と、役者が揃ってる。

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