漫画家まどの一哉ブログ
「太陽のない街」 徳永直
読書
「太陽のない街」
徳永直 作
1926年実際にあった共同印刷争議をモデルに書かれた日本プロレタリア文学の代表作。
作者解説にもあるとおり、一般労働者にもわかりやすく楽しんで読んでもらえるよう通俗的な書き方で書かれている。まるで昔の日本映画を見ているようないかにもドラマらしいドラマだ。組合側の労働者幹部は正義感あふれる若き善男善女であり、合間合間には資本家や政治家の密談がいかにも悪者として描かれる。恋愛シーンもあり、場面転換も早くまどろっこしいところは一切ない。
ところが中盤、集結する労働者と警官隊の正面衝突のシーンから描写は密度を増し、多数の幹部が拘束され裏切り者や離脱者の増加、仲間の死亡など、運動が敗北へ向かって転げ落ちて行くと作品は娯楽性を乗り越えるリアリズムを獲得してゆく。それでも最後まで劇的である。言葉は悪いが負け戦というものに題材としての魅力があるのかもしれない。
「太陽のない街」
徳永直 作
1926年実際にあった共同印刷争議をモデルに書かれた日本プロレタリア文学の代表作。
作者解説にもあるとおり、一般労働者にもわかりやすく楽しんで読んでもらえるよう通俗的な書き方で書かれている。まるで昔の日本映画を見ているようないかにもドラマらしいドラマだ。組合側の労働者幹部は正義感あふれる若き善男善女であり、合間合間には資本家や政治家の密談がいかにも悪者として描かれる。恋愛シーンもあり、場面転換も早くまどろっこしいところは一切ない。
ところが中盤、集結する労働者と警官隊の正面衝突のシーンから描写は密度を増し、多数の幹部が拘束され裏切り者や離脱者の増加、仲間の死亡など、運動が敗北へ向かって転げ落ちて行くと作品は娯楽性を乗り越えるリアリズムを獲得してゆく。それでも最後まで劇的である。言葉は悪いが負け戦というものに題材としての魅力があるのかもしれない。
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